大相撲ではたくさんの企業のスポンサーがいると思いますが、懸賞金は企業によって様々なのでしょうか?
また金額はいくらくらい企業によって貰えるのでしょうか。大相撲の中継を見ていると、土俵の上を回る色とりどりの旗を見て、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、その一覧や高額な懸賞金を出してくれるスポンサーについて、詳しく紹介していきます。

Contents
【最新版】大相撲の懸賞金スポンサー企業一覧とランキング
懸賞金を多く出している定番スポンサー企業(永谷園・タマホームなど)
大相撲の土俵を彩る懸賞旗には、建設や食品、医療など多岐にわたる業種の企業が名を連ねています。特に有名なのは、お茶漬け海苔で知られる永谷園です。永谷園は2000年の夏場所から懸賞金を出し始め、一時期は段階的に本数を増やし200本まで到達しました。また、住宅メーカーのタマホームや、清酒大関、高須クリニック、伯方の塩なども定番のスポンサーとして知られています。ゲームソフトで有名なポケモンも2021年11月場所から提供を開始し、2022年1月場所では1社単独として過去最高となる257本を懸ける大口スポンサーとなりました。かつては日本マクドナルドも1場所あたり100本を提供する大口スポンサーでしたが、東日本大震災後のコスト見直しにより撤退しています。
食品から医療まで!ユニークな懸賞金スポンサーの実例
定番企業以外にも、非常にユニークなスポンサーが懸賞金を出している事例があります。例えば、イギリスの歌手であるポール・マッカートニーさんは、2013年11月場所で自身のアルバム「NEW」の宣伝のために臨時で懸賞金を提供しました。また、集英社は漫画「火ノ丸相撲」の宣伝として、白鵬翔さんの取組にキャラクターをデザインした懸賞幕を出しています。そのほか、イチジク浣腸や毒掃丸といった医薬品、建設業の大林組やヒューリック、人材派遣のホットスタッフ、駐車場のパークジャパンなど、実に様々な企業がスポンサーになっています。地方場所ではその地域ならではの企業が登場することも特徴で、名古屋場所では中日新聞社が毎日懸賞を出しています。
大相撲の懸賞金本数ランキング上位の特徴とは?
懸賞金の本数が多い取組には、横綱や大関クラスの人気力士同士の対決という特徴があります。1つの取組に懸けられる懸賞本数の記録を見ると、2024年1月場所14日目の琴ノ若傑太さんと霧島鐵力さんの取組では、史上最多となる63本が懸けられました。これは本来結びの一番に懸かるはずだった懸賞が、不戦勝によりこの一番に振り返られたことも影響しています。それ以前の記録では、白鵬翔さんと鶴竜力三郎さんの取組などで61本という記録があります。かつては本数制限がありませんでしたが、土俵を回る時間が長くなりすぎるため、現在は1つの取組につき最大60本、森永賞を含めて61本までという制限が設けられています。
相撲の懸賞金は1本いくら?費用と力士の取り分の仕組み
懸賞金1本の値段は70,000円!費用の内訳を解説
冒頭の疑問で「懸賞金は企業によって様々なのでしょうか」という点に触れましたが、実は大相撲の懸賞金は企業ごとに金額が異なるわけではなく、現在1本あたり一律で70,000円(税込)と定められています。以前は60,000円や62,000円だった時期もありましたが、2019年9月場所から現在の金額に改定されました。この70,000円すべてが力士の懐に入るわけではありません。内訳としては、まず日本相撲協会が事務経費や手数料として10,000円を受け取ります。この手数料には、取組表への掲載料や場内アナウンスの費用、キャッチコピーの費用などが含まれています。そして残りの60,000円が、勝利した力士の獲得金額となる仕組みです。つまり、企業によって金額が変わるのではなく、何本の懸賞を出すかによって総額が変わるということです。
力士の手取りはいくら?納税充当金と協会の手数料
勝利した力士が獲得する60,000円ですが、これも全額その場で現金として受け取れるわけではありません。税金を支払うための「納税充当金」として日本相撲協会が天引きして預かるルールがあるからです。2025年5月場所より適用される新しい配分では、力士が土俵上で受け取る現金の手取りは1本あたり10,000円となり、残りの50,000円は納税充当金として協会に積み立てられます。以前は手取り現金3万円、納税充当金3万円という配分でしたが、セキュリティ面への配慮や担当者の負担軽減を理由に変更されました。この積み立てられたお金は、本人の名義で預かられ、引退時などに還付される仕組みとなっています。

懸賞金の本数に上限はある?過去最高額の取組事例
先述の通り、現在は1つの取組に対して懸けられる懸賞金の本数には制限があります。あまりに多くの懸賞がつくと、仕切りの制限時間中に懸賞幕が回りきらず、緊張感を削ぐという意見が出たためです。そのため、原則として50本、東京場所の森永賞を含めると51本までという制限が2006年から設けられました。その後、相撲人気の高まりを受けて枠が拡大され、現在は最大60本まで認められています。実際に懸賞が殺到した例としては、稀勢の里寛さんが初優勝を果たした2017年1月場所の千秋楽などが挙げられ、このときは緊急措置として上限が増やされました。
相撲の懸賞金は個人でも出せる?スポンサーになる条件と方法
個人名の懸賞旗は出せるのか?「タニマチ」との違い
大相撲の懸賞金は、企業や団体が宣伝目的で出すものであり、個人名義での申し込みは認められていません。これは懸賞金が政治利用されるのを避けるためという理由があります。かつてポール・マッカートニーさんが懸賞を出した際も、あくまでアルバムの宣伝という形をとり、名義上はイベント興行会社の懸賞として扱われました。相撲界には古くから「タニマチ」と呼ばれる個人的なスポンサーや後援者が存在し、力士を無償で援助する文化がありますが、これは土俵上でアナウンスされる公式の懸賞金スポンサーとは明確に区別されています。
懸賞金の申し込み手順と懸賞旗(旗)の製作費
企業が懸賞金のスポンサーになるためには、原則として1場所あたり15本以上、つまり15日間毎日1本以上を出すことが条件とされています。金額にすると1場所で最低105万円(税込)が必要です。申し込みは取組の5日前までに行う必要があります。また、土俵上を回る「懸賞旗」はスポンサー側が自費で製作して持ち込まなければなりません。懸賞旗のサイズは縦120cm、横70cmと厳格に決められており、専門業者に依頼して作られます。旗の上部には木の棒、下部には金色のモールをつけるといった細かな仕様も決まっています。
公序良俗と審査!スポンサーになれないケースとは
どのような企業でもスポンサーになれるわけではなく、公序良俗に反する場合や相撲協会の審査を通らない場合は断られることがあります。過去には、家庭用電位治療器を販売していた株式会社ヘルスが、薬事法で認められていない効能を謳って消費者庁から措置命令を受けた後、大相撲の懸賞を自社の宣伝に利用していたことが問題視された事例があります。同社は自社のホームページなどで相撲協会を応援していると掲載していましたが、協会側から企業PR活動での使用を厳禁とする通達が出され、最終的に紹介ページは削除されました。このように、ふさわしくないと判断された企業はスポンサーになれないケースがあります。
永谷園やタマホームの懸賞金事情!特定の企業が多い理由
大相撲の代名詞「永谷園」はいつから懸賞金を出している?
大相撲の懸賞といえば永谷園を思い浮かべる人も多いでしょう。永谷園は2000年夏場所から懸賞を出し始めました。特に2003年からは、幕内力士の高見盛精彦さんをテレビCMに起用したことで大きな話題となりました。永谷園の特徴は、1つの取組に複数の懸賞を懸け、場内アナウンスで「さけ茶づけ」「梅干茶づけ」といった商品名を連呼させる点です。力士の不祥事などで本数を減らした時期もありましたが、長年にわたり大相撲を支える代表的なスポンサーであり続けています。
タマホームなどの大手が相撲懸賞に力を入れるメリット
タマホームなどの大手企業が懸賞金を出すメリットは、国技館などの会場にいる観客全員に対して企業名や商品を強くアピールできる点にあります。懸賞が出されると、取組直前に場内放送で企業名やキャッチコピーが読み上げられ、土俵上を懸賞旗が回るため、観客の注目が集まります。NHKのテレビ中継では広告放送の禁止規定により、懸賞旗が回るシーンは遠景に切り替わってしまいますが、日本相撲協会の公式サイトや公式映像配信では音声も含めて確認することができます。また、取組表にも企業名が印刷されるため、来場者への宣伝効果は非常に高いと言えます。

特定の力士を応援する「指定懸賞」の仕組み
スポンサーは、特定の応援している力士の取組を指定して懸賞を懸けることができます。これを指定懸賞と呼びます。取組の前日14時までに指定を行うことで、希望する一番に懸賞を出すことが可能です。人気力士や注目の取組には多くの企業からの指定が集まります。例えば、白鵬翔さんが現役だった頃には、彼の取組に懸賞依頼が殺到し、年間で2,000本を超える懸賞金を獲得した記録も残っています。企業は自社のターゲット層や応援したい力士に合わせて、効果的に懸賞を配置することができるのです。
相撲懸賞金の知られざるルール!負けたらどうなる?
懸賞金がかかった一番で負けた力士は金一封をもらえる?
懸賞金は「勝利した力士」に授与されるものなので、負けた力士は一切受け取ることができません。勝負が決した後、行司が軍配の上に懸賞金の入った袋を乗せて勝ち力士に差し出します。勝ち力士は、手刀を切る所作を行ってからこれを受け取ります。この手刀は、勝負を司る神への感謝の意を表すものとされており、現在は右手で「左、右、中央」の順に切るのが原則とされています。負けた力士は何ももらえずに土俵を去ることになります。
休場や不戦勝の場合、懸賞金とスポンサー料の扱いは?
もし懸賞金が懸けられた取組の対戦相手が休場し、不戦勝となった場合、勝ち力士はその懸賞金を受け取ることができません。戦わずして勝った場合には懸賞は授与されないというルールがあるためです。この場合、すでに懸けられていた懸賞について、スポンサーは2つの選択肢から選ぶことになります。一つは、同日の別の取組に懸け替えること。もう一つは、懸賞自体を取りやめることです。実際に2015年5月場所では、大砂嵐金太郎さんの休場により、白鵬翔さんとの一番に懸かっていた40本のうち23本が他へ回り、17本が取りやめになりました。
懸賞旗が回るタイミングと観客へのアピール効果
懸賞旗が土俵上を回るのは、力士が制限時間いっぱいで仕切りを行っている最中です。「呼出(よびだし)」と呼ばれる進行役が、企業名の入った懸賞旗を持って土俵の周りを一周します。このタイミングで場内アナウンスにより「〇〇株式会社より懸賞があります」と読み上げられます。観客にとっては、これから始まる一番にどれだけの注目が集まっているかを知るバロメーターにもなり、会場のボルテージが上がる瞬間でもあります。なお、森永製菓が提供する「森永賞」の懸賞旗は、必ず最後に、他の旗から少し離れて回るという特別な決まりがあります。
大相撲の懸賞金はいくら?スポンサー企業の一覧についてのまとめ
- 代表的なスポンサーは永谷園やタマホームなどの大企業だ。
- 懸賞金は企業によらず一律で1本7万円と決まっている。
- 力士の獲得額は6万円で残りの1万円は協会の手数料である。
- 獲得額のうち5万円は税金用に積み立てられ手取りは1万円だ。
- 個人名義での申し込みは禁止されており企業のみが可能である。
- ポール・マッカートニーさんが宣伝で出した珍しい事例もある。
- スポンサーになるには1場所15本以上の出資が条件だ。
- 1つの取組に懸けられる懸賞本数は最大60本までである。
- 懸賞金は勝利した力士のみが受け取り負けたら貰えない。
- 不戦勝の場合は懸賞金を受け取れず取りやめか変更となる。

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