相撲の試合を始める直前に、力士が東と西に分かれて土俵に上がりますよね。これはなぜ東と西で分けているのでしょうか。北と南はないのでしょうか。それらも含めて分けられるようになった歴史についてもひもといていきます。

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相撲における「東」と「西」の基本的な意味とは?
相撲における「東」と「西」は、単なる方角の区別ではありません。力士の番付において、同じ地位であっても「東」の力士が「西」の力士よりも格上とされており、序列を示す重要な意味合いを持っています。例えば、同じ横綱でも「東の横綱」は「西の横綱」より上位に位置づけられます。土俵上では、正面から見て左側が東、右側が西と定められており、これは地図上の東西の方角とは必ずしも一致しないことがあります。呼び出しが「東~」と呼び上げる場合も、この正面から見た左側を指します。
なぜ相撲には「東と西」の区別があるのか?その起源と歴史
相撲に「東」と「西」の区別があるのは、いくつかの歴史的な背景と文化的な考え方に基づいています。一つは、かつて力士の出身地によって東西に分かれて相撲を取っていた名残です。東日本と西日本で分かれて対抗戦のような形式で相撲が行われていた時期がありました。もう一つの理由は、太陽が東から昇るという考え方から、東を上位とするという文化的な意味合いがあります。現在の「東」と「西」の起源には、織田信長さんが関わっていたという説もあります。信長さんは相撲好きで、安土の常楽寺で相撲大会を頻繁に開催していました。天正9年(1581年)には、竹を使った力比べである竹相撲で、なかなか決着がつかなかった伝蔵さんと右馬次郎さんに、信長さんの采配でそれぞれ「東」「西」という姓が与えられたと伝えられています。これは、彼らが土俵の東と西から上がったことに由来しており、両家の子孫がこの様子を絵馬に残し、新宮大社に奉納しています。
相撲の番付における「東」と「西」の位置づけ
大相撲の番付は、序ノ口から幕内まで6つの階級に分かれており、それぞれの階級がさらに「東」と「西」に分かれています。同じ地位の力士でも「東」の方が格上とされ、この差は「半枚」の格差があると言われています。これは、例えば「西五枚目」と「東五枚目」であれば、西が「5.5枚目」、東が「5枚目」と考えると分かりやすいでしょう。この半枚の差があるため、来場所で昇進できるかどうかが東西の差で決まってしまうこともあり、角界では「半枚に泣く」と表現されることがあります。番付は、枚数の少ない格上の力士から名前が書かれ、同じ枚数の力士は直前の場所の成績に応じて東西の同じ列に記載されます。
相撲の「東」と「西」はどのように決まるのか?番付と力士の配置の秘密
大相撲の番付における「東」と「西」の決定方法
大相撲の番付における「東」と「西」は、力士の実力によって決定されます。かつては出身地で東西に分かれていましたが、現在は力士の出身地は一切関係なく、実力のみで東西が分けられています。同じ地位の中でも、東に書かれている力士が西の力士よりも実力が上とされます。番付は、場所後の番付編成会議によって決定され、本場所初日の13日前の月曜日に発表されます。番付の目安となる力士の成績はさまざまな要素の組み合わせで決まりますが、最も重要な絶対条件は「勝ち越し」です。勝ち星が多ければ多いほど、番付は上昇し、基本的には勝ち星ひとつあたりで1枚上昇すると言われています。
力士はなぜ「東」と「西」に分かれて土俵入りするのか?
力士が「東」と「西」に分かれて土俵入りするのは、番付における序列と、かつての東西対抗の名残が関係しています。現在、土俵入りは東の力士は東の花道から、西の力士は西の花道から入場します。これは、番付で定められた東と西の力士それぞれの位置を示すものです。もしも東同士、あるいは西同士の力士の取組になった場合には、実力が上の力士が東から入場するルールがあります。ただし、ここでの「東」と「西」は、実際の方角ではなく、土俵の正面(北)から見て左側を東、右側を西と定めて呼んでいるだけです。例えば、両国国技館の土俵の方角は、正面(北)は西北西、南は東南東、東は北北東、西は南南西となっています。このように、相撲における東西は、地理的な東西とは異なる独自の意味合いを持つことを理解すると、土俵入りをさらに深く楽しめます。

「東」と「西」は毎日変わる?取組ごとの配置の原則
力士が番付上で一度「東」または「西」に決定されると、その場所中は基本的に変わりません。しかし、取組ごとに土俵上の立ち位置が「東」と「西」で入れ替わることはあります。これは、現在では部屋別総当たり制が採用されており、番付面で東方同士や西方同士の対戦が組まれるためです。例えば、東方同士の力士が対戦する場合、番付下位の力士が西方に回って相撲を取ります。したがって、力士がもともと東と西に分かれること自体に大きな意味はなくなっており、現在の東と西が持つ意味は、力士の序列として、同じ地位なら東方が上位であるという程度に過ぎません。
相撲の「東」と「西」に強さの違いはあるのか?徹底比較
過去のデータから見る「東」と「西」の勝率の傾向
相撲の番付において「東」の力士が格上とされているため、一般的には「東」の方が強いという認識があります。日本相撲協会公式サイトのクイズでも、「大相撲は東と西のどちらが強いですか?」という問いに対して「正解は『東』でした!」と明確に示されています。番付では同じ番付でも東西では東方力士の方が上位とされているため、この認識は番付の序列に基づいています。しかし、個々の場所や時代によっては、西の力士が活躍し、優勝を飾ることも珍しくありません。
横綱・大関の配置から見る「東」と「西」の勢力図
横綱や大関といった上位の力士も、番付上は「東」と「西」に分かれて配置されます。同じ横綱でも「東の横綱」の方が「西の横綱」よりも上位に位置付けられます。例えば、大相撲名古屋場所の番付発表では、新横綱の大の里さんが西の横綱に座ったという事例があります。番付上、東西に横綱がそろうのはおよそ4年ぶりだったとのことです。これは、必ずしも東に強い横綱、西に弱い横綱が配置されるわけではなく、昇進時の状況や番付のバランスによって決まることを示しています。
東西の強さは固定ではない?時代と共に変化する勢力バランス
相撲の東西の強さは固定されているわけではなく、時代とともに変化する可能性があります。かつては出身地で東西に分かれていた時期もありましたが、現在は力士の実力のみで東西が分けられています。そのため、特定の時代に東の力士が圧倒的な強さを見せることもあれば、西の力士が台頭してくることもあります。全勝優勝する力士がいた場合、その力士が東西のどちらに位置していたかによって、番付の上昇度合いに影響が出ることがありますが、最終的な強さは個々の力士のパフォーマンスに依存します。相撲の番付は毎場所変動し、勝ち星や他の力士の成績の兼ね合いで決まるため、常に勢力図が変動する流動的なものです。

4「東西東西」の掛け声に込められた意味とは?相撲文化の深掘り
「東西東西」とは誰が、どのような場面で発する言葉なのか?
「東西東西(とざいとーざーい)」という掛け声は、土俵上または土俵下で呼出が発する言葉です。主に結びの一番や十両最後の一番など、重要な取組の前に声がけられ、行司の口上とともに使われます。この掛け声は、観客に注意を喚起し、静粛にして取組に注目するよう促す役割があります。
「東西東西」に込められた相撲の伝統と精神
「東西東西」の掛け声には、相撲の長きにわたる伝統と、土俵の神聖さへの敬意が込められています。これは単なる合図ではなく、これから始まる取組への厳粛な導入であり、観客を相撲の世界へと引き込む儀式的な意味合いも持っています。この言葉が発せられることで、土俵の雰囲気が引き締まり、観客の集中を促す効果があります。
「東西東西」の掛け声が示す土俵の神聖さ
「東西東西」という呼出の掛け声は、相撲の土俵が単なる競技場ではなく、神聖な場所であることを示唆しています。これは、土俵が神事と深く結びついている相撲の文化的背景を反映しており、これから行われる力士たちのぶつかり合いが、単なるスポーツ以上の意味を持つことを観客に伝えます。この掛け声によって、観客は厳かな気持ちになり、取組への期待感が高まります。
相撲の「東」と「西」に関する素朴な疑問を解決
「相撲 東と西 どっち」が良い席?観戦する際の豆知識
相撲の観戦において、「東」と「西」のどちらが良い席かという疑問はよく聞かれます。土俵は正面から見て左側が東、右側が西とされています。会場によって正面の位置が異なるため、東西の方角が必ずしも地図上の東西と一致するわけではありません。一般的には、自分の応援する力士がどちら側の花道から入場するか、あるいはひいきの部屋がどちら側に座るかによって、好みの席を選ぶことがあります。しかし、番付上は東が格上とされるため、より強い力士の土俵入りを見たい場合は東側の席を選ぶという考え方もあります。

「相撲 東西 由来」についてチコちゃんが解説?メディアでの取り上げられ方
「相撲 東西 由来」といったテーマは、テレビ番組などでも取り上げられることがあります。例えば、NHKの「チコちゃんに叱られる!」のような番組で、相撲の東西の分け方やその由来が解説されたことがあるという言及が、関連キーワードリストにも見られます。このようなメディアでの取り上げられ方は、相撲の文化や歴史に対する一般の人々の関心が高いことを示しており、より多くの人が相撲の奥深さに触れるきっかけとなっています。番組では、かつての出身地による東西対抗や、太陽が東から昇るという考え方、さらには織田信長さんとの関連といった、東西の起源に関する様々な説が紹介された可能性があります。
相撲の土俵における「東」と「西」の具体的な位置関係
相撲の土俵における「東」と「西」の具体的な位置関係は、土俵の正面から見て決まります。正面から見て左側が東、右側が西です。これはあくまで土俵上の相対的な位置であり、実際の地理的な東西の方角とは異なります。例えば、両国国技館の場合、土俵の正面(北)は実際の地図上では西北西を指し、東は北北東、西は南南西となります。力士はそれぞれの番付に応じた花道から入場し、土俵上でも指定された東または西の場所に立つことになります。この東西の区分は、単なる配置だけでなく、力士の序列を示す重要な意味合いを持っています。
6. まとめ:相撲の「東」と「西」を理解して相撲観戦をさらに楽しもう
相撲の「東」と「西」が持つ奥深さ
相撲における「東」と「西」は、単なる区分に留まらない奥深さを持っています。番付における序列、歴史的な由来、文化的な意味合い、そして土俵上での儀式的な役割など、多岐にわたる側面があります。かつての出身地による東西対抗の名残や、太陽が東から昇るという思想、さらには織田信長さんとの関連など、様々な要素が現在の「東」と「西」の概念**を形作っています。この深い背景を理解することで、相撲という国技が持つ伝統と歴史の重みがより一層感じられるでしょう。
現代相撲における「東」と「西」の役割と重要性
現代相撲において「東」と「西」は、主に力士の番付上の序列を示す役割を担っています。同じ地位であれば「東」が「西」よりも格上であり、この半枚の差が力士の昇進に大きく影響することもあります。また、土俵入りにおける力士の立ち位置や、呼び出しの掛け声といった儀式的な側面においても、東西の区別は重要です。これらの伝統は、相撲が単なるスポーツではなく、日本の文化や歴史と深く結びついた神事としての側面も持っていることを示しています。

これからの相撲観戦が2倍楽しくなる「東」と「西」の視点
「相撲 東と西」について深く理解することで、これからの相撲観戦は格段に楽しくなるでしょう。力士の番付をチェックする際に、東と西の序列を意識したり、力士がどちらの花道から入場するか、土俵のどこに立つかといった点に注目したりするだけでも、新しい発見があるはずです。また、「東西東西」という掛け声の持つ意味を理解すれば、取組前の厳粛な雰囲気をより深く味わえるでしょう。これらの知識は、単に勝敗を追うだけでなく、相撲の歴史や文化、そして力士たちの努力に目を向けるきっかけとなり、相撲観戦を2倍、いやそれ以上に豊かなものにしてくれます。
相撲で東と西に分かれる理由に関するまとめ
- 相撲の東西は力士の格付けを示す。
- 東の力士が西より格上である。
- 東西の区別は歴史的背景に基づく。
- かつては出身地で東西に分かれた。
- 太陽が東から昇るのが由来である。
- 番付は力士の実力で東西に決まる。
- 東と西に強さの固定差はない。
- 「東西東西」は呼出の掛け声だ。
- 土俵の東西は地理と異なる。
- 東西理解で相撲観戦が深まる。
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