相撲の「ビンタ」は正式には何?張り手との違いを徹底解説

相撲の世界で繰り広げられる激しい攻防。その中でも特に、力士の顔面に鋭く放たれる「ビンタ」は、観客を驚かせる場面の一つです。果たして、この強烈な一撃は正式な技なのでしょうか。なぜ反則にならないのでしょうか。ここでは、相撲の専門家として、相撲における「ビンタ」の真実に迫ります。


一般的に私たちが「ビンタ」と呼ぶ行為は、相撲の世界では「張り手」と呼ばれ、正式な技の一つとして認められています。しかし、この張り手は技でありますが、ビンタとはどう違うのでしょうか。ビンタは禁止なのか、なぜ張り手は許されているのか。この点こそ、相撲の奥深さを理解する上で最も重要なポイントです。

目次

相撲の「ビンタ」と「張り手」は同じ?意外な定義の違い

相撲における張り手と、一般社会で使われるビンタは、根本的に目的が異なります。張り手は、相手の顔や首の側面を叩き、相手の体勢を崩したり、視線をずらしたりすることを目的とした「技」です。一方、ビンタは、相手の顔面、特に頬を叩くことを目的とした暴力行為や体罰の一種と見なされることが一般的です。

この違いは、技の打ち方にも表れています。張り手は、手首のスナップを効かせるのではなく、掌の付け根部分である「掌底」を相手にぶつけるように打ち込みます。これに対し、ビンタは手首のスナップを効かせて、表面的なダメージを狙うことが多いのが特徴です。

なぜ「張り手」は有効な技として許されている?その目的と効果

相撲における張り手は、単なる攻撃手段ではありません。立ち合いで相手を崩し、その後の有利な体勢につなげるための重要な「作戦」であり、技の一部です。張り手には、相手の動きを止めたり、バランスを崩して土俵際まで追い込んだりする効果があり、場合によっては相手を倒すほどの威力を持つこともあります。

相撲の張り手はなぜそこまで強力なのか?科学的な威力と危険性

相撲の張り手は、見た目以上に強力な打撃技です。その威力は、力士の鍛え抜かれた体と、掌の付け根で叩くという打ち方によって生み出されます。この掌底打ちに近い技は、体重の乗った一撃となり、相手に大きな衝撃を与えます。


【実録】張り手で失神・耳がとれるって本当?力士が語る衝撃のエピソード

強烈な張り手は、時には力士に深刻なダメージを与えることがあります。実際に、過去の取組では張り手によって力士が土俵に崩れ落ちる衝撃的な出来事が起きています。

張り手で失神は起こる?実際にあった事例と力士の証言

実際に張り手によって土俵に沈んでしまった力士がいます。かつて「怪物」と称された久島海さんは、1993年の春場所で対戦相手の旭道山さんから強烈な張り手を受け、土俵に崩れ落ちました。この出来事は、いかに張り手の威力が絶大であるかを示す一つの証拠です。力士の体格や技術に関わらず、張り手は一発で勝負をひっくり返すほどの力を持っています。また、筆者自身も、かつて教師から左右から強烈なビンタを張られ、目が真っ白になり、口の中が切れて血が溢れたという忘れられない体験をしています。これらのエピソードは、張り手がもたらす衝撃の大きさを物語っています。

耳が取れるほど強力?「張り差し」が危険な理由とは

相撲のルールでは、相手に打撃を与える張り手は反則にはなりませんが、両耳を同時に両掌で張ることは反則負けと規定されています。これは、両耳を同時に叩くことが相手に極めて大きな危険をもたらすためです。


相撲で「張り手」が禁止行為にならない理由とは?ルールから見る相撲の奥深さ

相撲には、公式なルールブックで定められた「禁じ手」が存在しますが、張り手はその中に含まれません。

相撲の張り手は反則ではない?ルールで禁止されている「禁じ手」一覧

相撲の競技規則において、顔面への張り手や掌底は反則ではありません。これは、張り手が相手を倒すための「技」として認められているためです。一方で、以下の行為は「禁じ手反則」として厳しく禁止されています。

  • 握り拳で殴ること
  • 頭髪をつかむこと
  • 目または水月などの急所を突くこと
  • 両耳を同時に両掌で張ること
  • 前立褌をつかみ、また、横から指を入れて引くこと
  • 咽喉をつかむこと
  • 胸、腹をけること
  • 一指または二指を折り返すこと

張り手はルール違反?大相撲のルールブックに記載された規定

大相撲のルールブックには、顔面への張り手は許されている一方で、両耳を同時に両掌で張ることは反則負けとなると明確に記載されています。これは、力士の安全を確保するための重要なルールです。

相撲の張り手と暗黙のルール「立ち合いの変化」との関係性

相撲には、公式なルールブックには記載されていない「暗黙のルール」も存在します。例えば、立ち合いの際に相手の目の前で両手を叩いて目つぶしを狙う「猫騙し」は、一種の奇襲技として認識されています。しかし、公式ルールで禁止されていない張り手であっても、相手を著しく傷つけるような行為は力士間の暗黙の了解として避けられる傾向にあります。


【Q&A】相撲の「ビンタ」に関するよくある疑問に専門家が回答

相撲における張り手や打撃技について、よくある疑問に専門的な視点から回答します。

Q. 頭突きは相撲の正式な技?張り手との使い分けは?

相撲で頭突きは、正式な技として認識されています。禁じ手一覧に頭突きは含まれておらず、突き押しを得意とする力士にとって重要な攻撃手段の一つです。頭突きは相手を力で押し返すことを目的とし、張り手は相手のバランスを崩すことを目的とするなど、状況に応じて使い分けられます。

Q. 張り手は誰でも使える?横綱と平幕で威力の違いはある?

張り手は、ルール上はどの階級の力士でも使用できます。張り手の威力は、力士の体重や技術、打ち込み方によって大きく異なります。過去に「怪物」と呼ばれた巨漢力士・久島海さんが、軽量力士の旭道山さんの一発の張り手で土俵に崩れ落ちた事例があるように、必ずしも体格だけで威力が決まるわけではありません。

Q. 張り手以外の打撃技や攻撃的な技には何がある?

相撲には、張り手以外にもさまざまな打撃技や攻撃的な技が存在します。例えば、相手の肩や背中を叩いて倒す「叩き込み」、相手の腕を掴んで引き寄せる「手繰る」、相手の足を蹴って倒す「蹴手繰り」などがあります。ただし、握り拳で殴ることは反則負けとなります。

相撲の張り手とビンタについてのまとめ

●記事のまとめ
  • 撲の「ビンタ」は正式には「張り手」という技である。
  • 張り手は相手を崩すための技で、暴力行為ではない。
  • 張り手は掌底で打つため非常に強力な威力を持つ。
  • 過去には張り手で失神した力士もいる。
  • 相撲のルール上、顔への張り手は反則ではない。
  • 両耳を同時に両掌で張るのは反則負けである。
  • 張り手以外にも、握り拳で殴る行為は禁じ手だ。
  • 立ち合いでの奇襲技「猫騙し」も存在する。
  • 張り手の威力は力士の体格だけで決まらない。
  • 相撲には公式ルール外の暗黙の了解がある。
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